ガン治療や病院で使われる専門用語とは
がん治療用語辞典
医療機関などで医療関係者が使う言葉には、耳なじみのないものがたくさんあります。主治医や看護師とスムースなコミュニケーションを取り、病状やガン治療方針を正しく理解して、患者であるご自身やご家族が正しい治療を受けられるように、よく使われる専門用語の意味はしっかりと知っておきましょう。
【悪性腫瘍】
細胞に由来し、進行性に増えたものを腫瘍といい、そのうち別の臓器へ転移し、臓器や生命に重大な影響を与えるものが悪性腫瘍。
【EBM】
Evidence-Based Medicineの略で、科学的根拠に基づく医療のこと。人を対象にした臨床研究の結果を指す。
【異型度】
ある細胞の形が正常な細胞とどのくらい異なっているかを示す度合いのこと。
【遺伝子検査】
遺伝子の異常を調べる検査。診断だけでなく、治療効果の判定にも用いられる。
【医療費控除】
1年間に一定以上の医療費の負担があった場合に、一定額を所得から差し引くことにより税金が軽減される制度。
【イレウス】
腸内の食べ物や水分の流れが悪くなり、便やガスが出なくなること。つまり腸閉塞。
【インフォームド・コンセント】
医療行為を受ける前に、医師や看護師からわかりやすい十分な説明を受けたうえで、その医療行為に同意すること。
【遠隔転移】
がん細胞が最初に発生した場所(原発巣)から、血液やリンパ液に乗って他の臓器に広がること。
【寛解】
一時的あるいは永続的にガンが縮小、または消失している状態。
【がん診療連携拠点病院】
専門的ながん医療の提供、地域のがん診療の連携協力体制の整備、患者・住民への相談支援や情報提供などの役割を担う病院。
【完全寛解】
すべての病変(ガン)が消失し、新たなガンが出現していない状態が続いていること。
【がん相談支援センター】
全国のがん診療連携拠点病院などに設置されている「ガンの相談窓口」のこと。
【がん登録】
がん患者について、診断、治療およびその後の転帰に関する情報を収集し、保管、整理、解析する仕組みのこと。
【緩和ケア】
ガンの患者の体や心のつらさを和らげ、生活やその人らしさを大切にする考え方。
【キャンサーボード】
さまざまな医療関係者が関わり、患者にとって最善の治療を話し合う検討会議のこと。
【QOL】
Quality Of Lifeの略で、生活の質を意味する。
【限度額適用認定証】
急な入院などで、これから高額な医療費の支払いがわかっている場合に取得しておくべき権利。がん治療による入院前までに申請しておくといい。
【原発巣】
最初にガン(腫瘍)が発生した病変のこと。
【高額療養費制度】
公的医療保険における制度のひとつ。医療機関などの窓口で支払った額が、暦月(月初から月末まで)で一定額を超えた場合に、超えた額が助成される制度。
【5年相対生存率】
ガンと診断された場合に、治療でどのくらい生命を救えるかを示す指標。特定のガンと診断された人のうち5年後に生存している人の割合。
【根治手術】
病気を完全に治すことを期待して行う手術のこと。
【再建手術】
がんの手術によって切り取ってしまった臓器や器官を新たにつくり直す手術のこと。
【在宅療養支援診療所】
24時間365日体制で往診や訪問看護を行う診療所のこと。
【再燃】
病気の進行が止まっていた、または、軽快していたものが再び進行し始めること。
【再発】
手術で取りきれていなかった目に見えない小さなガンが残っていて再び現れたり、薬物療法(抗がん剤治療)や放射線治療でいったん縮小したガンが再び大きくなったり、別の場所に同じガンが出現すること。
【差額ベッド代】
希望して個室等に入院した場合、基本的に1~4人部屋に入室したときにかかる費用で、正式には「特別療養環境室料」。つまり、健康保険適用範囲外で患者に請求される病室の費用。
【支持療法】
ガンに伴う症状や治療による副作用に対しての予防策、症状を軽減させるための治療のこと。
【集学的治療】
ガンの種類や進行度に応じて、さまざまな治療法を組み合わせた治療を行うこと。
【術後補助療法】
手術後に、ガンの再発や転移の危険性を減らす目的で行われる治療のこと。
【紹介状(診療情報提供書)】
患者が他の医療機関を受診するとき、それまで担当していた医師が患者を紹介するにあたって、発行する書類。
【障害年金制度】
年金に加入中で病気などで重度の障害が残った人に、年金を早くから支給する制度。
【傷病手当金】
病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度。
【浸潤】
ガンが周囲に染み出るように広がっていくこと。
【深達度】
臓器の内側の粘膜に発生したガンが、徐々に深く壁の外側に向かって進行しているときの深さ。
【診療報酬点数】
1点を10円として、負担する医療保険制度のもと、病院や医師が患者に対して行う個々の診療行為やサービスにつけられた点数。
【スクリーニング検査】
無症状の人が、疾患の疑いを発見することを目的に行う検査。
【ステージ】
病期分類ともいい、ガンの大きさや他の臓器への広がり方でガンを分類し、ガンの進行の程度を判定するための基準のこと。
【ストーマ】
人工肛門や人工尿路など自然の排泄経路以外に設けた排泄口。
【生活福祉資金貸付制度】
低所得者世帯、障害者世帯、介護を要する65歳以上の高齢者がいる世帯、失業者世帯に、都道府県の社会福祉協議会が生活福祉資金として貸し付ける制度。
【セカンドオピニオン】
診断や治療方法について、担当医以外の医師の意見を聞くこと。
【前がん病変】
ガンになる可能性のある(または可能性の高い)状態の病変。
【先進医療制度】
公的医療保険が適用されない医療と、保険が適用される医療を同時に受ける場合、保険が適用されるものも、保険適用外になり、自己負担額が多額に。そこに例外として、厚生労働大臣が「先進医療」として特別に定めた公的医療保険が適用されない医療については、保険診療との併用を認めるもの。
【創部】
手術でできた傷のこと。
【TNM分類】
ステージを分類する方法。「T」は原発のガンの広がり(深達度など)を、「N」はがん細胞のリンパ節への転移の有無と広がり、「M」は原発から離れた臓器への遠隔転移を意味する。
【第1度近親者】
自分にとっての両親、兄弟、姉妹、または子どものこと。
【対症療法】
病気に伴う症状を和らげる、あるいは消すための治療。
【第2度近親者】
自分にとってのおじ、おば、祖父母、孫、おい、めいのこと。または、片親の異なる兄弟姉妹。
【治癒】
病気やけがなどが治ること。
【二次性発がん】
抗がん剤や放射線治療による正常細胞の障害のために、治療を終えた数年から数十年後に元の病気とは別の種類のガンや白血病を発症すること。
【標準治療】
科学的根拠に基づいた観点から、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者に行われることが推奨されている治療。
【病変】
病気が原因となって起こる生体の変化。良性のものと、悪性のものがある。
【吻合】
血管や腸管、神経などを互いに手術でつなぐこと。
【保険外併用療養費制度】
健康保険適用外の診療を受ける際に、厚生労働大臣の定める「評価療養」と「選定療養」については、保険診療との併用が認められている制度。
【ホスピス】
がん患者を主な対象とし、体と心の苦痛緩和のための治療とケアを行う病棟や医療機関のこと。
【未承認薬】
日本人や日本の医療環境において効果があるか、安全であるかまだ科学的に確認がされていないために厚生労働省から承認されていない薬剤のこと。
【薬剤耐性】
薬が効きにくい状態になること。
【予後】
病気や治療などの医学的な経過についての見通しのこと。「予後がよい」とは、「これから病気がよくなる可能性が高い」ということ。
【罹患】
病気にかかること。
【良性腫瘍】
増殖が緩やかで、転移することがなく、臓器や生命に重大な影響を及ぼすことのない腫瘍のこと。
【リンパ節郭清】
手術の際に、ガンを取り除くだけでなく、ガンの周辺にあるリンパ節を切除すること。
【累積暴露量】
ある個人が一定期間に曝された物質、または放射線の合計量のこと。X線やCT検査を受ける際は、この量が多くならないように一定の期間を空けて検査をする必要がある。有害物質や放射線への累積暴露量によっては、特定の疾患や病態の発生するリスクが高くなる場合がある。
【レセプト】
医療機関が健康保険組合に医療費を請求するために、行った処置や使用した薬剤等を記載した明細書のこと。診療報酬明細書のこと。