画像検査でより詳細なガンの病巣を映し出す
末期癌治療を知る大切さ
■ CT検査
X線を当てて透過率を調べる
体のまわりからX線を当てて、体の断面像を観察する検査。検査装置は、短いトンネル状のガントリスライド式ベッド、コンピュータ、モニターで構成されています。頭部、胸部、腹部などの臓器や骨、軟骨など、全身を調べることが可能です。
● 被曝線量と人体への影響
CT検査・PET-CT検査 7.0
消化管X線検査 4.0
マンモグラフィ検査・PET検査 2.0
自然界や宇宙から受ける日本人の被曝量 1.1
成田~ニューヨーク往復の飛行機移動で受ける宇宙線被曝量 0.2
胸部X線検査 0.05
単位:mVs(ミリシーベルト)
● 検査対象となる臓器と病気
○ 脳 ・・・ 脳腫瘍、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脳動脈瘤、脳動静脈奇形、脳石灰化巣、水頭症、脳浮腫など
○ 肺・胸部 ・・・ 肺がん、肺結核、肺炎、肺気腫、気胸、気管支拡張症、胸部大動脈瘤、乳がん、大動脈解離、肺線維症、縦隔腫瘍、胸水、サルコイドーシスなど
○ 上腹部の臓器 ・・・ 肝臓がん、肝硬変、胆嚢がん、胆管がん、胆道閉鎖、胆石、総胆管結石、胃がん、大腸がん、腎臓がん、腎嚢胞、水腎症、尿管結石、副腎がん、膵臓がん、膵炎、後腹膜腫瘍など
○ 下腹部の臓器 ・・・ 膀胱がん、前立腺がん、前立腺肥大症、子宮がん、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮奇形、卵巣がん、卵巣嚢腫など
○ その他 ・・・ リンパ節腫大、悪性リンパ腫、骨肉腫、多発性骨髄腫など
■ MRI検査
磁気で核磁気共鳴を起こす
体に強い磁力を当て、体の断面像を観察する検査。脊髄や骨盤の中、骨の断面など、CTでは撮影しにくい骨に囲まれた部分も調べることが可能です。特に、脳や胸部、腹部、骨盤内に発生するガンに対して検査能力が高い。
MRIテスラとは?
テスラとは、磁気の強さを表す単位。数値が高いほど画像情報が多く、診断能力が高い。静磁場強度の上昇に伴い、強い磁場を発するため、心臓ペースメーカーや冠動脈ステント、強磁性体クリップなどの体内金属への注意がより必要となります。
● MRI検査を受ける際に注意が必要な人
○ 心臓にペースメーカーを埋め込んでいる人
○ 人工内耳、人工中耳の人
○ 血管へのステント挿入手術を8週間以内に受けた人
○ 古い人工心臓弁の手術(材質不明)を受けた人
○ 目に微細な金属片が入っている人
○ チタン製以外の脳動脈瘤クリップが入っている人
○ 金属の義眼底、義歯(材質不明)の人
○ 骨折によるボルト(材質不明)が固定されたままの人
○ 躯幹(頭と手足を除いた胴体部分)全体に入れ墨のある人
○ 避妊リングを体内に入れている人
○ 妊娠初期、妊娠の可能性がある人
ガン検査の内容や進め方は、ガンの種類や発生部位によって異なります。ほとんどの場合、複数の検査結果を組み合わせて診断されます。たとえば、ある患者の肺がんの診断はCTによる画像検査と病理検査とを組み合わせて行い、腫瘍マーカーの結果を参考にする、といった方法で進められます。
また、検査結果と検査に伴う体への負担、合併症、費用との兼ね合いなどを考慮します。緊急で治療を開始する必要があると判断される場合には、救命を最優先に考え、治療を開始することもあります。
現代医療は、インフォームド・コンセント(説明と同意)が前提になるため、検査や治療、診断内容については医師から詳しい説明が行われます。診断の際、医師によって見解が異なることもありえます。
ガンと告知されたら「診断理由」を医師に必ず確認しましょう。医師の説明に納得がいかなければ、セカンドオピニオンを求めることも可能です。
■ PET検査
小さなガン細胞を早期発見できる
PETとは、「陽電子放射断層撮影」という意味。静脈に放射性同位元素を注入し、画像に映し出すシンチグラフィーの一種。約5mm以上の小さなガン病巣の早期発見が可能ですが、白血病や粘膜に起きる早期ガン、胆道がん、肝臓の細胞ガン、ごく小さいガンが散在している場合などは、発見できないこともあります。妊婦または妊娠の疑いのある人や、授乳中の人には行われません。
● PET検査が有効なガン
咽頭がん/喉頭がん/甲状腺がん/舌がん/食道がん/肺がん/乳がん/膵臓がん/大腸がん/卵巣がん/子宮がん/悪性リンパ腫/悪性黒色腫
● PET-CT検査とは
PETとCTの画像を同時に撮影することで、単体の検査に比べ、
① 精度の高いPET検査が行える
② 別々で撮影する場合に比べて検査時間が短縮できる
③ デジタルデータが残り、多様な角度の断面や目的に応じた画面表示が可能
という利点があります。※ PET-CT画像を撮ると、ガンが赤く写ります。
■ シンチグラフィ検査
さまざまな臓器の異常を知る
静脈に放射性同位元素を注入して、シンチカメラという専用の受信装置で捉え、コンピュータで画像化する検査。甲状腺、肺、肝臓、副腎などの異常や、骨の状態、脳や心筋の血流状態がわかります。また、腫瘍やガン、副腎、甲状腺機能の検査、ガンの骨への転移などを調べるときにも用いられます。さまざまな臓器が対象になります。この検査で異常所見があれば、多くのケースで確定診断につながります。
超音波(エコー検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(核磁気共鳴画像)検査、PET(陽電子放射断層撮影)検査、シンチグラフィ検査など、いわゆる画像検査は自覚症状がないガンを早期発見するだけでなく、画像によってガン細胞の広がりや性質を調べるなど、ガン診断に欠かせない検査のひとつです。これらの検査は、治療方針の立案や予後の予測に重要な役割を果たします。
体幹部の輪切り画像や、造影剤の投与前後での変化を調べたりすることで、病気の種類を推察したり、腫瘍の形や位置、広がり、正常組織との関係を調べます。
なお、X線検査や胃バリウム検査、CT検査で使われる放射線被曝は、健康に影響をおよぼす可能性は極めて少ないものです。しかも、必要な場所のみに必要最小限の量で照射しているので、放射線被曝の心配をすることはありません。
とはいえ、これらの検査は検査と検査の期間を空ける必要があるため、むやみに検査を受けることは避けましょう。いずれも何かしらのメリット-デメリットを伴うため、天秤にかけて総合的にメリットが大きいほうにしましょう。検査にあたり不安なことや、わからないことがあれば、率直に主治医に質問をしましょう。