膵臓がん治療/症状/生存率/余命

膵臓から発生したがんのことを一般に膵がんと呼びます。膵臓は胃の後ろにある長さ20cmほどの細長い臓器で、右側は十二指腸に囲まれており、左の端は脾臓に接しています。右側はふくらんだ形をしているので頭部と呼び、左端は細長くなっているので尾部といいます。頭部と尾部との間の1/3ぐらいの大きさの部分を体部と呼びます。膵臓の主な働きは、消化液をつくること(外分泌)と血糖を調節するホルモンをつくること(内分泌)です。膵臓がつくる消化液は膵液と呼ばれ、膵臓の中を網の目のように走る膵管という細い管の中に分泌されます。細かい膵管は膵臓の中で主膵管という一本の管に集まり、肝臓から膵頭部の中へ入ってくる総胆管と合流した後、十二指腸乳頭というところへ開いています。肝臓でつくられた胆汁と膵臓でつくられた膵液はこうして一緒に十二指腸の中へ流れ込むのです。膵臓でつくられるホルモンは、血糖を下げるインスリンや逆に血糖を上げるグルカゴンなどで、これらは血液の中に分泌されます。膵臓にできるがんのうち90%以上は外分泌に関係した細胞、特に膵液を運ぶ膵管の細胞から発生します。これを特に膵管がんといいます。普通、膵がんといえばこの膵管がんのことをさします。内分泌細胞から発生する「膵内分泌腫瘍」については別項目を参照して下さい。

年齢別にみた膵がんの罹患(りかん)率は60歳ごろから増加して、高齢になるほど高くなります。死亡率の年次推移は、男女とも戦後1980年代後半まで増加し、1990年代以降は横ばいまたは漸増傾向にあります。死亡率は、男性のほうが高く、女性の約1.7倍です。罹患数は死亡数とほぼ等しく、膵がん罹患者の生存率が低いことと関連しています。死亡率の国際比較では、以前は日本の膵がんの死亡率は低いレベルでしたが、1960年代から80年代後半まで増加して欧米諸国並みになった後、欧米諸国同様、横ばいに転じました。罹患率の国際比較では、日本人は国際的にみて高いレベルにありますが、最も高いのはアメリカ黒人です。一方、国内では、北日本における死亡率が高い傾向があります。
膵がんは、相対的には発生率が低かったことなどの理由で、疫学的な研究結果が限られ